祖父は無くなる前に様々な病気を患っていた上に、一人暮らしだったので、家の中に頓着している余裕が無かったようだった。当然家の中は荒れ放題、正直遺品の整理どころでは無い、二階などは床を踏み抜いたら危険、と言うレベルだ。
まあ、おいおい片付ければ良い、と思っていたのだが、そこに問題が発生した。
土地は神社からの借り物だった。
土地は返さねばならない。それも更地で。
中身だけでは無く、家その物を何とかしなくてはならない、と言う訳だ。
幸い、叔父のツテで、家の中の片付け、家自体の破壊、片付けを100万ちょっとでやってもらえたが。
もしも叔父がいなかったら、家がもう少し大きかったら、家の中の遺品の量が多かったら、どれだけの費用がかかったのかと思うとゾッとする。
故人の遺した物の処分に困ると言うのはありがちな話だが、後になって家そのものを片付けなければならなくなった、と言うのは余り聞かない話だ。
しかしそう言う珍しい話が自分の身に起ころうとは、正に事実は小説より奇なりとしか言い様が無い。